都内3箇所で実施されている歩行者天国の実態と比較

zp_PB240061現在、警視庁において歩行者天国を実施している地域は、新宿、銀座、秋葉原の3箇所となっている。それらの歩行者天国の様子を確認しつつ、秋葉原の歩行者天国について考えてみたいと思う。

 

警視庁のサイトで確認

警視庁(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/index.htm)によると、歩行者天国の交通規制とは『「歩行者天国」は、歩行者用道路として人と車とを分離し(中略)道路交通を車優先から歩行者優先へ転換させるきっかけとなることや、自動車のもたらす排ガス、騒音等の交通郊外の防止に寄与しています。』とある。

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警視庁のサイトより引用

昔の話を秋葉原や上野で長く商売を行っているお店で伺うと、「昔は銀座から上野まで歩行者天国が続いていたんだが、途中お店がない地域など人通りが少ない地域から徐々になくなり、今は中央通りは銀座と秋葉原のみになってしまった」という感じの話だ。長い歴史の中で行われた歩行者天国が3地域でどの程度違うのか見ていこう。

 

新宿地区

新宿地区の歩行者天国はその範囲を「新宿三丁目の一部」として下記の地図にて地域を指定している。特徴なのは銀座や秋葉原が「線」に対して歩行者天国を指定しているのに対して、新宿は「面」と言えるような歩行者天国の実施をしている。

警視庁のサイトより引用

警視庁のサイトより引用

地図で確認すると、新宿通りを中心として靖国通り、甲州街道へつながる路地を歩行者天国としているようだ。実際の歩行者天国の様子を見ていこう。写真は2014年11月に撮影したものだ。

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秋葉原の歩行者天国と異なる部分は「1)監視員が少ない」くらいだろう。人通りは新宿だけに裏の路地のお店に対してまで多くの人が出歩いている。続いて新宿通りアルタ前付近を見てもわかるがやはり監視員をほぼ見かけないのは秋葉原との大きな差だろう。土地柄観光客といった人が多く地元住人が自転車等で乗り付けることが少ないのかとも思われる。パフォーマンスを行う人こそ見かけなかったものの比較的ゆっくりとした感じの歩行者天国だ。

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中央通り(銀座地区)

次は銀座を見ていこう。銀座の歩行者天国はその範囲を「銀座通り 銀座通り口交差点~銀座8丁目交差点の間(約1100m)」としている。歩行者天国としては中央通りのみの歩行者天国となるが中央通りの歩道もかなり広めのため十分な広さを確保できているように思われる。

警視庁のサイトより引用

警視庁のサイトより引用

銀座の歩行者天国は新宿と異なり「線」での実施だ。また距離が長いため新宿や秋葉原と異なり晴海通りで歩行者天国が一旦切れているのが特徴だ。現在の秋葉原の歩行者天国とはこの点が異なる。それでは写真で様子を確認していこう。こちらの写真も2014年11月に撮影したものだ。

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晴海通りと中央通りの交差点だが、秋葉原とは異なり簡易な衝立での仕切りとなっており、歩行者に対しての威圧感も少なく感じる。また、銀座の歩行者天国の特徴は下の写真で示すが道路に設置されたゴミ箱、およびパラソルとイスだ。

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銀座でも歩行者天国の中央に当たる晴海通り付近で見かけたのだが、テロ対策以来見ない街頭のゴミ箱と炎天下での歩行に対して休憩できるスペースが準備されているのは秋葉原、新宿と大きく異なる点だ。以前から設置されていた経緯もあると思われるが、こういう設備があるだけで随分と歩行者天国のイメージが変わるので秋葉原でも設置してほしいところだが難しいだろう。銀座の特徴としては「1)監視員が少ない」「2)ゴミ箱、イス等が設置されている」点に集約されるだろう。

 

中央通り(秋葉原地区)

最後は我らの歩行者天国である秋葉原地区だ。歩行者天国の範囲は「中央通り 外神田5丁目交差点~万世橋交差点の間(約570m)」とある通り銀座の約半分となっている。

警察庁のサイトより引用

警視庁のサイトより引用

秋葉原の歩行者天国も銀座と同じで「線」での実施となる。銀座との違いは歩行者天国中に車との交差部分が無い点だ。こちらは以前はあったのだがあの事件(※1)以降の実施では車歩分離の徹底という感じで交差部分が排除されている点が特徴だ。それでは写真で様子を見ていこう。こちらも2014年11月に撮影した写真となる。

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3箇所の歩行者天国の中では一番多い監視員が特徴だ。他、自転車への乗り入れ取り締まりに関しては新宿とは比べることができないくらい厳しい。また、銀座と異なりゴミ箱やパラソルやイスといったものもない。zp_PB020035

人通りに関しては銀座、新宿と比べても劣らない程度の人通りだ。写真で見て改めて感じるのはその年齢層の若さだろう。新宿は20代〜40代付近の年齢層が、銀座は外国人と50代〜の年齢層、秋葉原は外国人と10代〜40代といった年齢層が多いような気がする。

 

三箇所の歩行者天国を比較して

街を利用する年齢層や商材としている商品の違いも大きいが、特に若い人が多く目につくのが秋葉原だろう。その為、どうしても「配慮の足りない行動」が多くなってしまう傾向にあるのかもしれない。それにも増して事件(※1)以降の万世橋警察署の対応がかなり厳しいように感じている。同じ歩行者天国でこのくらいの差しかないのだが、この差が非常に大きく感じてしまう。新宿は面での実施もあり単純比較が難しいが、銀座のゴミ箱の設置の実施は秋葉原でも取り込んでほしいところだ。また、JTあたりで臨時喫煙所を歩行者天国の際に出してくれると喫煙禁止条例を広く知らしめることができるのだが、この辺りも今後秋葉原の歩行者天国の実施組合である「秋葉原地域連携協議会『アキバ21』」には強く求めたいところだ。

まだまだ厳しい規制が続く秋葉原の歩行者天国だが、以前と同じとは言わないが「高度成長期に歩行者天国を楽しんだ人たちが、その思い出を後継者の若い世代へ体験として伝えることができる歩行者天国の実施」を心待ちにしたい。

 

※1:「事件」とは2008年に起きた通り魔事件の事。