[連載]第2回:『神霊入れ』と『神幸祭』

rp_P50900372013年5月に開催された江戸三大祭りの1つである神田祭の当日の様子は『[連載]第1回:2013年の神田祭を追った』でお伝えしたが、宮入前の神田祭の様子をお伝えしよう。

 

神田祭は神輿を担ぐ当日だけが祭りじゃない!

神田祭は実際には長い期間をかけて神事が行なわれており、そのなかで町会の人々の見せ場が宮入だ。しかし、その前日など何をやっているか気になる人も多いだろう。そこで今回は『神霊入れ』と『神幸祭』の様子を写真でお伝えする。

 

各町会に1基の神輿

神田祭の神輿は100基を超える数がある。それもそのはず、秋葉原近辺だけではなく日本橋付近までが対象となっており、そこに存在する町会に1基は神輿が存在する。秋葉原駅近辺は『外神田地区連合』と呼ばれ、12町会(神台、五軒町町会、栄町会、旅籠町会、末広町会、田代会、金澤会、万世箸町会、宮本町会、同朋町会、松富会、元佐久町会)存在する。祭りの前後でアーツ千代田3331で行なわれていた『祭礼図巻にみる江戸の粋「江戸っ子だってねぇ」「神田の祭よっ」』で飾られていた神輿は五軒町町会の神輿である。(アーツ千代田3331が五軒町町会に当たる為。)

祭礼図巻にみる江戸の粋「江戸っ子だってねぇ」「神田の祭よっ」

祭礼図巻にみる江戸の粋「江戸っ子だってねぇ」「神田の祭よっ」(アーツ千代田3331より転載)

 

『神霊入れ』と『宮入』

今回は2013年5月10日(金)に各町会の神輿に神田明神の御神霊をお遷しする儀式(『氏子町会神輿神霊入れ』)が行われる。この儀式により、神田祭がいよいよ始まる事になる。そして、12日(日)の宮入により御神霊を神田明神へ送る事で神田祭は終了する。

万世橋町会の神輿神霊入れ

万世橋町会の神輿神霊入れ

神輿に人が乗ってはダメ(ただし例外あり)

宮入の祭は神輿を担ぐが、基本的に神輿に人は乗ってはいけない。例外はやっちゃ場(旧神田市場)の神輿のみとなっているらしい。やっちゃ場のは神輿が大きく大人2人が乗れるとの事。もう1つの例外は子供。特に小さい子供は各町会の神輿に上がってもOKとの事。今回の宮入の祭にはいくつかの町会で神輿の上に子供が居たと思われるが、このような理由の為である。

 

 

テントの正体は神酒所!

各町会にテント(町会によってはガレージ等を利用したものもある)が有り、そこには神輿とともに祭で使う様々なものが納められている。これを『神酒所(みきしょ)』と呼び、宮入の祭には各町会、挨拶回りのように他の町会の神酒所を訪れ一本締めを行なう。

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こちらは祭り前の木曜日(2013年5月9日)の栄町町会の神酒所

外神田以外の神酒所(錦町) 外神田以外の神酒所(旭町)

外神田地区連合以外の神酒所(左:錦町/右:旭町)

田代町の神酒所設営風景(木曜日)
田代町の神酒所設営風景(木曜日)

 

外神田地域連合が秋葉原そのもの!

各町会の神酒所の大凡の位置をまとめたのが下の表となる。各町会は昔から有る為、その後の道路計画等で地域を分断するように一部大通りが出来た事も有り分かりにくくなっている。該当地域の住所に関しては今回『神田祭.ch公式ブログ』の情報を引用させて頂いた。

2013年宮入順番 町会名 代表的建物 該当住所(※1)
1 神台会 神田明神下付近、三井製パン 外神田二丁目5番地1〜12号に加え、7番地1号・4号を除く、6〜9番地
2 五軒町町会 アーツ千代田3331、勉強カフェ、大阪王将 外神田六丁目3番地5・6号、4〜16番地
3 栄町会 うなぎ久保田、柳寿司、白桃書房、東京チカラ飯(末広町) 外神田五丁目1・6番地
4 旅籠町会 ベルサール秋葉原付近 外神田一丁目1番地5〜7号、3番地、4番地1〜8号、18〜23号、5〜9番地及び外神田三丁目1・12・13番地
5 末広町会 サンボ、サイゼリア、アイカフェ、LittleBSD 外神田三丁目5〜10番地、及び14〜16番地
6 田代会 ドンキホーテ付近 外神田四丁目2〜6番地
7 金澤会 昌平小学校、橙幻郷 外神田三丁目2・3・4・11番地
8 万世橋町会 ラジオ会館(本館)、アトレ、万世橋警察署 外神田一丁目1番地8〜14号、2番地、4番地9〜17号、10〜17番地
9 宮本町会 開花楼、神田明神門前付近 外神田二丁目16〜19番地、7番1号・4号の一部
10 同朋町会 ピーコック、セブンイレブン(妻恋坂) 外神田二丁目10〜15番地、6丁目1・2番地及び3番地3・4・7・8号
11 松富会 ドーミイン、フルーフデゥセゾン、セキレイ 外神田四丁目6〜13番地
12 元佐久町会 マクドナルド(末広町)、ブラウンシュガー、駒忠、鳥陣 外神田五丁目2・5番地

※1:該当住所に関しては、神田祭.ch公式ブログより引用(転載)した。

 

氏子町会神輿神霊入れ(10日)

神田祭の金曜日、神輿に神田明神の御神霊をお遷しする儀式『氏子町会神輿神霊入れ』が行なわれた。

『氏子町会神輿神霊入れ』とは?

各町会での神輿渡御と神社への神輿宮入参拝に向け、夕暮れ時、それぞれの町会の神輿が奉安された神酒所・御仮屋において、揃いの浴衣・半纏を着た氏子町会の人々が参列するなか町会の神輿に神田明神の御神霊をお遷しする「神輿神霊入れ」が神職により奉仕される。

サイト『神田祭』より転載

こちらは万世橋町会の氏子町会神輿神霊入れの写真となる。駅前の為に撮影しやすかった事も有るが、多くの人が撮影していた。この儀式により神輿に御神霊がお遷しされる。

万世橋町会の神輿神霊入れの様子

万世橋町会の神輿神霊入れの様子

神幸祭(11日)

翌土曜日には神幸祭が行なわれた。神幸祭とは「祭神が乗る鳳輦(ほうれん)、神輿をはじめとする行列が氏子108町会を巡り、町々を祓い清める神事」とのこと。

『神幸祭』とは?

氏神様—氏子の町を守る神々—がお乗りの鳳輦・神輿をはじめとする行列が氏子の町々を巡り、氏子たちと触れあい、恩頼(みたまのふゆ)—神々のお力—により町々を祓い清める神事である。
(『神田祭』パンフレットより転載。ISBN:978-4-902583-05-4)

2013年はあいにくの雨模様。神幸祭は早朝8:00から始まり19:00まで行なわれる。それもそのはずで、巡行する地域は神田明神を起点として神保町、大手町、日本橋、水天宮(浜町)、東神田、和泉町、外神田といった広大な地区となっている。今年は秋葉原近辺(外神田)には17時過ぎくらいから行列が各町会を練り歩いた。これが終わると翌日はいよいよ宮入になる。

神幸祭(末広町交差点付近)

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神幸祭(妻恋坂交差点付近)

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さて、神田祭の「宮入」は一日をかけて行なわれる。日本橋付近から外神田までの広大な町会から多くの神輿が来る為だ。今年は外神田連合の12町会は早朝早い時間の宮入となった。それでは、次回(最終回)はその宮入の栄町町会の様子を掲載したいと思う。