Xを見ていると流れてきた「個人クリエイター等権利情報登録システム」なる存在。さまざまな作品を生み出す個人クリエイター等が自身の著作物に関する情報を登録し、それらを利用したい人が検索し利用を問合せをすることができる仕組みだ。このシステムの登場はかなりヤバい問題を孕んでいると思うので、ライター黒井の見解を説明する。
著作権は一人のもの?
この「個人クリエイター等権利情報登録システム」は、著作物を登録してもらう事で、著作物を利用したい人が権利者にアクセスしやすくするためのシステム、らしい。令和8年2月24日から運用が開始となっている。
さて、ここで問題と感じるのは「著作権は自然発生権」である点との相違だ。自然発生権とは手続き等を経ることなく著作物が出来た時点で発生する権利であることを指す。そして、人は同じような著作物をほぼ近い時期に別の場所で創り出してしまう事がある。権利の重複を許さない特許権は登録制で類似の内容の権利を特定の一人に与える。しかし著作権は自然発生権であり、類似の創作物は(相手の創作物を知らずに創作した場合は)複数の人に著作権が発生する。だが、今回の「個人クリエイター等権利情報登録システム」はその著作物の権利者を一人に決めかねない危険を孕んでいるのが問題だと考える。
自然発生する著作権の根本を揺るがす大問題?
ベルヌ条約に加盟の国においては著作物の権利は自然発生権として存在している。これは日本をはじめとした多くの国で採用されている。一部の国においては、著作物は登録を行う事で著作権が発生するケース(アメリカなどで採用されている)がある。この違いを埋める条約が万国著作権条約であり、よく見る「(C)」は記載要件を満たす場合において、著作物の登録制の国でも自然発生権の国の著作物が保護されるための表記となる。基本は「(C)」と「著作年」そして「著作者」の3要件が描かれている必要がある。秋葉原PLUSの権利表記は「(C)2026 秋葉原PLUS」という形で登録制の国において著作権が主張できるようになる。それが、今回の「個人クリエイター等権利情報登録システム」が運用される事で自然発生権である著作権に国の機関である文化庁が「登録」という管理を行う事で権利者を一意に決めてしまう危険性があるのが問題と考える。著作権の発生に「登録」は不要であるにもかかわらず、実質的に「個人クリエイター等権利情報登録システム」に登録しないと権利主張がしにくい状況が生まれる。そのため、著作権は自然発生権なのだが事実上「個人クリエイター等権利情報登録システム」への登録が権利主張の要件になりかねず、自然発生権の意義が失われることが問題と考える。
著作権侵害は親告罪だからこそ自由に使える!
さて、著作権の権利者を探して円滑に著作物を利用させたい目的は一応理解はできる。ただし、著作権侵害を決めるのは創作者(著作権者)である点は忘れてはならない。著作権の許諾無き利用(著作権侵害)を止める事が出来るのは、著作権を持つ物のみである。なので許諾無しで利用されているとしても、権利者が黙認すればそれに違法性はない。この権利の行使の自由さが、日本の文化の裾野の広さを保証している一つの要因だとも考えられる。コミケなどはこの権利行使のあいまいさを上手く活用して発展している。それが今回の「個人クリエイター等権利情報登録システム」が使われ始めると、先に著作権者を探して許諾を得て同人誌等を発行する必要が出てくる可能性がある。また文化庁自体が登録検索を前提とするような誤解を生む文章を実際掲載している。

「分野横断権利情報検索システム」より該当箇所を転載
上記の文章は「分野横断権利情報検索システム」に記載されている一文だが、『著作物等を権利者の許諾なく無断で利用することは著作権侵害となり、民事と刑事の両方の責任を問われる可能性があります。』とあり、事実ではあるが親告罪である説明が抜けており権利侵害即罰則と読める。親告罪の説明が不足しており恣意的に上記文章が記載されているのではないかと疑いたくなる。
「個人クリエイター等権利情報登録システム」が生むのは利用促進か?息苦しい創作の世界か?
結局のところ今回の「個人クリエイター等権利情報登録システム」は著作物が膨大な現在において利用促進を促す手段として一つの手法となるのは間違いないだろう。ただし、「個人クリエイター等権利情報登録システム」は行政である文化庁が行うシステムであり、著作権の自然発生権を事実上侵害し登録を要件としかねない危険さ、そして著作権侵害のという親告罪の都合の良い特性が今回のシステムの登場で登録前提の利用となり利用への足かせになってしまわないかを非常に心配している。二次創作などを行う場合は「個人クリエイター等権利情報登録システム」で確認して権利者に許諾を得ることが必須になったり、自己の創作なのに「個人クリエイター等権利情報登録システム」で検索したら同じような著作が存在し、自分の創作が「検索でHITした創作物によらずに創作した」ことを証明できずに権利が主張できなくなる、といった可能性だ。果たしてどのような未来が待っているのか? 私は「利用が委縮し、創作活動が息苦しくなる世界」が待っているのではないか?と危惧している。
おまけ「確定日付」のススメ
創作物を作成したら公証役場で「確定日付」を押してもらおう! 第3者がその創作物が確定日付の日に存在していたことを証明してくれる。著作権の発生要件である創作日が第3者によって確定できる。また確定日付を押す際には、日付、著作者等の情報を書いておけば著作権の主張がしやすい。こちらは「個人クリエイター等権利情報登録システム」の登録と違い「自分の身を守る」事に使いやすいだろう。いろんな手段がある著作権の主張方法、目的に応じて適切に利用していきたい。
※本内容は2026年2月26日23時時点のライター黒井の見解である。
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