先日お伝えした「アキバ系落語家(真打)がラノベ作家デビュー!」した話題の続報です。この話題のデビュー作が令和7年(2025)3月19日に刊行されたので、さっそく購入し熟読してみました!秋葉原PLUS編集部的にネタバレにならない様に作品紹介と感想。そしてちょっとプラス情報として前代未聞の寄席購入特典についてもお伝えします!
アキバ系落語家ラノベ作家デビュー続報!
前回、アキバ系落語家(真打)、ついにラノベ作家デビュー!にて、アキバを愛するアキバ系落語家 春風亭吉好師匠がラノベ作家デビューという話題をお伝えしましたが、話題のデビュー作は令和7年(2025)3月19日に無事発売されました。
登場人物や物語のあらすじが明らかになったので、さっそく紹介したいと思います!
あらすじ紹介!
現役の落語家が紡ぐ、超本格《落語》物語――ここに開演!!
天才的な落語の才能を持ちながらも“とあるトラウマ”を抱えて伸び悩む前座の高校生・浮乃家陽太(うきのやようた)の前に現れたのは••••••
「どうして魔王のワシが落語を修行するハメになるんじゃ!?」
••••••魔王を名乗る謎の美少女!? ひとつ屋根の下、兄妹弟子として彼女と共に前座修行をすることになった陽太(ヨタ)だったが――
「ちゃんと兄(あに)さんって呼べよ!」
「嫌じゃ。ヨタはヨタじゃ」
常識知らずな妹弟子の世話に悪戦苦闘(たまにドキドキ)する日々の中、次第に天賦の能力を開花させていく魔王に刺激され、陽太の中に眠っていた落語家としての『異次元の資質』がついに目を醒ます!
現役の落語家が紡ぐ、超本格《落語》物語――ここに開演!!
なるほど••••••落語の『前座』として働く高校生の日常に、突然現れた非日常系ヒロインとの物語。ファンタジー要素もありつつ、落語という芸人の世界を現役落語家がライトノベルで表現というところですか••••••魔王の他、幼なじみの少女や前座仲間の女の子とサブキャラも充実してそう••••••
おもしろそうなのでさっそく読んでみた!
というわけで、本作をさっそく購入して読んでみました!学生時代は通学時間が長かったので毎週たくさん買って読んでいたラノベですが••••••
嗚呼、やっぱりジュブナイル(少年少女の成長や冒険をテーマにした物語)はいいわ。
主人公の優しさが滲み出てくる丁寧な文体なので一気に読了!
感想:★★★★☆
『元天才前座』というのが気になりましたが、本作は全体的に読みやすく丁寧な文体。過去に様々な作品が作られた『押しかけヒロイン』とのドタバタコメディながら、今風の要素も多くあり古さを感じさせないストーリー構成となっていました。主人公とヒロインはひとつ屋根の下に暮らす兄妹弟子であり、高座に立てばお互いが競い合う芸人同士(ライバル)になるという関係性が面白い。また、令和の受け身系主人公でありながら、ヒロインの活躍をきっかけにトラウマを克服して成長、本来の力(ちから)を取り戻していくというストーリー展開は、令和のラノベニーズに応えつつ、かつてのライトノベル黎明期の良さも上手く取り入れている作品だと感じました。
あまり語るとネタバレになってしまうので控えますが、内容も笑いあり、涙あり、勝負あり、最後に「そういうことだったのか!」とすっきりさせるストーリー展開で大満足。今後の展開について、リアル系にもファンタジー系にも話を分岐させられることを匂わす仕掛けがいくつかあり、読者視点からも創作意欲を刺激する作品です。
これまで監修や原案というポジションで小説や漫画、アニメに携わった落語家はいましたが、実際に作者として作品執筆をした落語家(しかも真打)というのは春風亭吉好師匠が業界初なのではないでしょうか?
前座や二つ目から創作業界へ転向する落語家は数多くいますが、真打まで登り詰め、落語業界の酸いも甘いも噛み締めた本物の落語家が少年少女向けに作品を発表したという意義は大きいのではないかと思います。
その点において本作は作品のキモである『落語家の前座修行』という、通常では体験できない世界と雰囲気を(前座から真打まで)実際に体験した著者本人が「初めて誇張なく表現した」貴重な作品ともいえるのではないでしょうか?
本作はライトノベルながら、今後落語という伝統芸能の世界に興味を持った少年少女たちの人生の指針となりうる良作だと思います。
少年少女向け作品としてはほぼ満点に近い作品!
しかし!感想で★4としたのは記者(和)はおっさんなので、序盤に出てきた母親キャラに興味が行ってしまったから。魔王のママ••••••「マ魔王」様のイラストが出てこなかったので苦渋の決断で★4としました。
これも作品作りの観点から考えると、『ヒロインの母親』という破壊力の強いキャラを最初から目立たせるとヒロインが埋もれてしまう可能性がありますので、ある種の配慮だと思われますが••••••挿絵にちょろっとでも「マ魔王」様が描いてあれば間違いなく★5でした。
とりあえず個人的にも次回作のイラスト登場に期待です!
初回購入特典も充実!
本作は話題作なので本作品は初回購入特典も充実!
アニメイト、ゲーマーズ、メロンブックスでそれぞれ違う書き下ろし小説ペーパーやブックレット、SSリーフレットが付いてきます。
初回購入特典の詳細や購入方法については、ファンタジア文庫の特設ページにまとめられていているので、ここから購入することも可能!
初回購入特典なので、うかうかするとすぐに無くなってしまう可能性がありますので、興味のある方は早めにチェックした方がいいかもしれません。
さて、ここから秋葉原PLUS的ちょっとPLUS情報!
実は本作は都内の寄席••••••この作品にも登場する『浅草演芸ホール』の売店でも購入可能。しかもここで本作を購入すると寄席購入特典としてオリジナル千社札風しおりがついてきます!
ライトノベルの“寄席”購入特典••••••これも前代未聞なのでは無いでしょうか?
この特典については、作者の春風亭吉好師匠が自ら製作したとのこと。これも数に限りがあるとのことで、寄席帰りにラノベを購入してみるのもいいかもしれません。
なお、寄席購入特典のしおりデザインは春風亭吉好師匠と一緒にヲタク演芸会『ヨシコサクラコ』をやっているオタク講談師の神田桜子さん!
最後に、春風亭吉好師匠から秋葉原PLUS読者へメッセージをいただいたので紹介します!
メッセージ紹介
ヲタク落語家の春風亭吉好と申します。声優さんとコラボしたりヲタクな落語家として活動していたらまさかのライトノベル作家デビューする事に?
しかもスレイヤーズ、フルメタなど学生の頃から大好きな作品を出しているファンタジア文庫から?
この展開がまさにラノベのようです。
本作は美少女の魔王が寄席で前座修行するという他にはない設定での物語です。
前座修行の内容や、それに対する考え方など、吉好が修行中に培った事を参考に書いているのでリアリティがあります。
また落語家が高座で何を考えながら、どんなテクニカルな事をしているかという事をライトノベルらしいケレン味も交えて表現。
まるで客席にいるような、または高座にいるような臨場感をお楽しみください。
本作のヒロインであるハチは異世界からの魔王という事で奔放な性格をしており最初はイヤイヤ修行をしています。
それが前座修行を通じて精神的に成長していく様子、そしてそれに刺激を受けて覚醒する主人公のヨタという2人の成長が見所です。
何も知らないハチに兄弟子のヨタが指導するという形で寄席や落語を自然に解説しているので落語初心者の方でも取っ付きやすい構成となっております。
ヲタク落語家である吉好にしか書けない本格落語家修行ストーリー。
本書を読んで前座修行を疑似体験してみましょう。
沢山の方に読んでいただけたら幸いです。
とのことでした!
春風亭吉好師匠、お忙しい中メッセージをありがとうございました!
春風亭吉好師匠のデビュー作『魔王は扇子で蕎麦を食う ~落語魔王与太噺~』をお求めの方は、各種書店か都内の寄席にて!
【書籍情報】
■タイトル:魔王は扇子で蕎麦を食う ~落語魔王与太噺~
■著者:春風亭 吉好
■イラスト:絵葉 ましろ
■協力:落語芸術協会
■定価:792円(本体720円+税)
■発売日:2025年03月19日
■判型:文庫判
■商品形態:文庫
■ページ数:342
■ISBN:9784040758176
■作品紹介ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322410001692/
この記事を書いた人

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和泉宗吾@いずみん
千葉県在住の週末都民。フリーライター兼、野生のプロデューサー。美味しいものを求め東奔西走。秋葉原プラスで記事執筆のほか、企画や催事等のお手伝いをさせていただいております。よろしくお願いいたします。
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