本シリーズ2回目。前回はヲタには独特の繊細で敏感な感性があるという話をした。それが諸刃の剣として、裏目に出ると同時に強力な武器として生かしていける可能性についても軽く触れた。今回はその可能性について具体的に迫る。
スタンド使いはスタンド使いでない人では在れない。
早速某コミックを例として使ってしまうのだが、端的に言えば「マイノリティがマジョリティに馴染もうとするのは無謀で建設的ではない」という事だ。
その某コミックでの物語では、スタンドを使える人間はごくわずかである。弓と矢でスタンド使いが増えるというトラブルがあったものの、全世界の規模で見たら圧倒的にレアな存在だ。
そんな彼らが普通の人間と比べて生きたらどうなるだろう。…スタンドが強くて人を護る力があることに気づかず、ただ「自分は変わっている」という考えしか持てず、スタンドが見えない(使えない)人間と同じような生活をし続ける…。楽しいだろうか。満足だろうか。
まずは「他人と比べてしまう」自分がいないか意識してみることに大切な意義がある。
「どうせ自分は」「自分なんて出来ない無理だ」「自分はダメだ」
気づいたらそれが口癖になってはいないだろうか。
人の注目を引きたくて意識的に使っているだけならば痛いというだけで何も問題ないのだが、本心で言っているのであれば、その心の鎖は外した方が楽になるのは間違いない。
ここは、そもそも社会や他人の「出来る」「優秀」の定義は果たして本当に普遍的で素晴らしいことなのか、立ち止まって考えてみると見えてくる。
社会のルールと他人の目は石ころ、あなたはダイヤ。
同じ石=人間でも、要はそういう事だ。
今は磨けずに放っておいてきた原石のままかもしれない。くすんでいて汚くて隅に置いてある石ころのように捨てられているのかもしれない。
しかしダイヤはダイヤだ。
岩のように大きな石ころがあったら、よけながら歩く。うまく妥協し、無難な道を見つけ、先を歩く。
だが、その石ころに道を譲り続けてばかりでは、自分が通っていける道は狭く通りにくく、とても穏やかな心境では生きていけないだろう。
ダイヤモンドは砕けないのだ。
少しくらい当たっても、押しのけても、あなた自身はどうってことない。
多少傷ついても、痛い想いをして何もかも嫌になっても、また傷は磨き直せばいい。休ませればいい。もっと大きくて強そうなダイヤをまた見つけたらいい。
…ここで、誤解しないでもらいたい事がある。非常に大切な事を今から補足する。
強いのは、弱さを隠すことだと著者は言っているのではない。
例えば、「引きこもる自分はいけない」「ビビりな自分はダメだ」「弱く在ってはいけない、強い心を持たねばならない」…そう自分を律しているヲタはきっと多い。ヲタは根が真面目で理想が高い人が多いからだ。
だが、実は逆なのだ。引きこもることは自分の心身を護ること。自分を大切にできているということ。ビビりやすいのは物事を慎重に判断できるということ。ちょっとやそっとじゃ軽率に決断しない聡明さがあるということ。そして弱いということは、弱い人間の心が解るということ。弱者に共感し優しくなれる才能があるということ。
そもそも、弱さなど隠したり押し殺したところで、所詮ハリボテで誤摩化しているに過ぎない。いつかは人に暴かれるか、自ら病やその他の悩みを引き起こし自爆するかのいずれかである。強く在ろうと意地を張るほど実は、己は脆弱を選んでいるという皮肉が真実なのだ。
社会はそう言わないだろう。非ヲタは表面的なあなたを見て嘲笑うかあしらうのだろう。
だが、真実はそういうことなのだ。スタンドが見えない人間にはスタンド使いの本当の力や苦労など、分かるはずもないのだ。それだけの能力がないのだから。
自分のスタンドは何が出来る?
そう、問題はそこなのだ。
自分の変わった特性や感性は、具体的にどのようなものなのだろう。
なんとなく人と違うのは気づいているが、それを真に知る方法は一体何であるのか。
次回は「自分を知る」方法を、具体的に実践的に書いていこうと思う。
この記事を書いた人
- コミュニケーションハッカー。新時代のゲームPHEAlosophy(フィーロソフィー)研究所、AkibaColoursで『日本のサブカルチャーが人の心に与える影響』について日々研究している。あらゆる心理セラピー、自己啓発、コーチングに静かなる反旗を翻す『カラーチャット』というゲームの提供も行っている。普段は秋葉原の神田明神すぐ裏でひっそりと暮らしている。HP→http://akibacolours.main.jp
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